Interview with Tomoaki Shinozaki

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体系的な"ファッションスタディ"を創る

今お話を伺っているだけでも篠崎さんの積極性が非常に伝わってきます。
普段は企業にお勤めされながらも、 このように活動を続けられる理由は何なのでしょうか。

「場を作りたい!」という思いですね。

その思いの先にあることを教えて頂けますか。

ファッション文化をより豊かにするためには、研究者・キュレーターが表に出る機会を作る必要があると思います。アートに対しての批評が多いのは、大学や大学院で学んだり研究できる環境が整っているからではないでしょうか。アートと比べるのが良いかは分かりませんが、ファッションに対してはまだまだ少ないので、研究者や批評家が増えて欲しいという思いを持ってサポートしていきたいですね。そのための活動として、小さいながらも15回目を迎えた「Think of Fashion」を続けています。文化の層を厚くする上では学んでいる人が多いことが重要な要素になってきます。

アートに携わる側からは「ファッションは恵まれている」と言われていますが。

それはファッションはビジネスであるため、商業的な話の場合ですね。アートの批評家はファッションの批評家が恵まれているとは思っていない、と言うよりも認識していないのかもしれません。それでも僕と同世代の方々が、ファッションを研究対象として選択する流れは少しずつ見えてきたと思います。ドリフターズ・インターナショナルの金森香氏にお願いして「ドリフのファッション研究室 ファッション批評を考える」という会を企画した際には、僕の活動の中でも恐らく一番多くの方に集まって頂きました。ファッション批評への機運が高まってきたと実感しましたね。

ファッションの展覧会についてですが、「ファッションは人が着てこそ成立する」という論も当然ありますが、僕は展覧会をメディアとして捉えていて、ファッションを見て学び考えるメディアが一つでも増えて欲しいと思っています。そもそもファッション批評が本当に難しいと考えるのは、ショー・お店・ストリートなど多様過ぎて、条件が揃えられないからです。だからこそキュレーターというフィルターを通し、共通の言語がある状態の展覧会が必要になってくるのではないでしょうか。そして展覧会やキュレーター自身に対しても批評が出てきて、客観性が確立されていくと思います。

ファッションショーと比較してみると、ショーは限られた関係者だけが見れる、つまり人を排除するシステムですね。ジャーナリストがブランドに対して批判的な記事を書き、次のショーには呼ばれないなんてこともあります。展覧会はというと、入場料を払えば誰でも入れるオープンな場です。ファッションの展覧会はまだまだ少ないので、研究家・キュレーターが増えることがやはり求められてくるのではないでしょうか。僕自身もゆくゆくは展覧会に携わってみたいという気持ちもあります。

そういう意味では「プレ企画『Future Beauty 日本ファッションの未来性』を考える会」(2012年8月)もそういった展覧会に対しての思いを抱えての企画だったのですね。篠崎さんの活動一つ一つがファッション研究に興味を持つ方を増やしたり、ファッションを深く考えるきっかけ作りになることも勿論あると思いますが、篠崎さんが活動される姿を見て影響される方もいらっしゃると思います。

今後のファッション業界に必要だと篠崎さんが考える人物像を教えて下さい。

この考え方はIFIの影響もあるかもしれませんが、モノ作りの背景、ファッションの歴史や文化を正しく理解し、ビジネスにも強い人材だと思います。モノを作る人は好きでやっている人が多いので、そのパートナーとなる人材が必要になってくるのではないでしょうか。僕自身もこうした人材が業界に出てくるように活動しています。人材を育てると言うよりは、”ファッションスタディプランナー”として一緒に学ぶ感覚です。

今後の活動ビジョンを教えて下さい。

現在の活動をファッション業界に浸透させしっかりと継続していくことは勿論のこと、これまでも自主企画の際には懇親会を必ず設けてきましたが、一方的に講師側が教えることに留まらず、参加者同士でも議論し合ったりできることを意図していました。これがなかなか難しい場合もあるので、今後は改善していけるように考えていかなくてはならないと思っています。他には「Think of Fashion Study」という研究者向けのより深く体系的に学ぶ会や、「Fashion Biz Study」というファッションビジネスに従事する人のための法律・ファイナンス・文化講座を計画中です。また、作り手に向けたテキスタイル講座も企画したいですね。

こうして生涯継続して活動していくことで、ファッション業界に少しでも貢献できたと思えれば良いですね。
文・石川 千央 / 写真・西田 拓志