- date
- 2012/03/22
- place
- LAFORET MUSEUM ROPPONGI
- theme
- Time
- designer
- Kunihiko Morinaga
- art direction
- NO DESIGN
- stage direction
- Shigetaka Kaneko
- hair & make
- Katsuya Kamo
- music
- Ippei Sugihara
- product at
- Yuuki Fujimoto
- model casting
- HYPE
- show press
- Tatsuya Miura
- look photo
- SEIJI ISHIGAKI
ANREALAGE 2012-2013 autumn & winter collection
updated
「時間の境界線」による、残像から灯される布の命
「ANREALAGE(アンリアレイジ)」による2012年秋冬コレクション「TIME」が発表された。今期は、先シーズンの“形の境界線”から“時間の境界線”へアイデアを転換することで、静止しているプリントやシルエットに動きをつけた。
いま消えてしまう一秒前の世界を、
ひきずること。
いま過ぎ去ろうとする一瞬の世界を、
とどめること。
時間をかたちにする。
過去、現在、未来、
時の流れを身に纏う。
ANREALAGE 2012-2013 A/W COLLECTION プレスリリースより
「移り変わりの早いファッションでは速さが正義とされているが、ひきずることにも正義があると思う」
今期のテーマ「TIME」とは、日常のなかで起こる「写真やマネキンは静止している方が美しいとされている」という概念やファッション業界にある「速いが正義とされている」というトレンドに対して、デザイナー森永邦彦は「移り変わりの早いファッションでは速さが正義とされているが、ひきずることにも正義があると思う」という持論を問い掛けるようにしてテーマを掘り下げた。
ショーの開始を告げる小刻みな音、そして一瞬の真っ暗闇に強烈なフラッシュと、まるで時差が生じているようにファーストルックが登場した。ショーミュジックにも足音をミックスすることで、実際に出てくるモデルとの時間のズレを生み出すことで、服だけでなく総合演出も拘りぬいた。一方、服に着目すると、二種類の時間軸を取り入れていることがわかる。
能動的な動きー二つの時間軸が意味すること
一つ目の能動的な動きとは、人体が動いた軌跡にある。腕を振ったように“袖が重なっている”アウター、ラペル・ヘムをレイヤーしているシャツやジャケット、一歩前に進むように歩いた軌跡を描いた“ヒールが重なっている”シューズといった今期のシグネチャーとも呼べる造形的な作品が目に付く。このような造形的な服を作るにあたって、「人体の動きを3D上でとった後に、動きを断層化したモーション原型を作った」というように、目に見えない部分までロジックを追求する同ブランドのアティチュードが表れている。
受動的な動きー二つの時間軸が意味すること
二つ目の受動的な動きとは、経時的変化する対象物による軌跡にある。「動物や蝶や星など元々動くものが、洋服の世界では動かないものとしか存在していない。そこに時間の概念を与え、本来の動きを表現したかった」というように、本テーマを象徴する考え方である。つまり、布の中にある柄が動くということは、“布に命を灯す”という意味にも捉えることができる。これら全てのプリントは、パソコン上で手動で動かして作成したデータを「ビスコテックスプリント」で忠実に布地へ表現した。また、ブランド・シグネチャーである「パッチワーク」も、星や柄を動かすことでボーダーとなり、ブランドが得意とする錯覚効果を活かしている。
錯覚的表現を行なってきた強み
その他にも、ファスナースライダーやバックルといった服飾資材にもレイヤーが表現され、プリント技術を応用したのがテキスタイルにも見受けられる。これまでも様々なテーマで錯覚的表現を行なってきた同ブランドが培ってきたアイデンティティが存分に発揮されている。日常的な視点や動機から着想し、新たな技術をファッションを通じて表現するアンリアレイジならではの強みが今期も打ち出された。今後は、更なるロジックの整合性と同時に、アイテムに負けないスタイルを打ち出していってもらいたい。
取材・文:スナオシタカヒサ
ANREALAGE / アンリアレイジ
「REAL・UNREAL・AGE(日常・非日常・時代)」をコンセプトに、コンセプチュアルなテーマをリアルクローズへ落とし込むデザインに定評がある。2011年の「miffy in fashion」展、「東京ファッションの現在形」に続き、今年は「Future Beauty 日本ファッションの未来性」展へ出展するなど、アート性高い作品はファッションの展覧会や歴史に欠かせない評価を受けている。8月には大阪・仙台にもショップをオープンするなど、近年の活動は名実ともに東京を代表するブランドへ成長を遂げている。
designer
森永 邦彦
Kunihiko Morinaga
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