beautiful people 2014 autumn & winter collection

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1969年と現代を架けるステージ

2014年3月18日、「beautiful people(ビューティフル・ピープル)」による2014年秋冬コレクションが発表された。今回は、ビートルズが1969年に行なったゲリラライヴ・ルーフトップコンサートの映像をイメージしたコレクションを展開した。テーマは「ACROSS THE UNIVERSE」。

再生するコンサートフィルム

「伝説の42分間」とも称されるルーフトップコンサートは、ビートルズが行なった最後のライヴである。ショーはビートルズの「Get Back」の生演奏でスタートした。ビューティフル・ピープルのデザインチームの4人は過去にも百貨店でのライヴ等で「THE beautiful people」としてバンド活動をしており、今回はコレクション発表の場での演奏となった。

ギターを演奏するデザイナー熊切は、「40年以上前のフィルムであるため、全体的に緑がかかったどこか優しい色味をそのままアイテムに落し込んだ」と語り、所々グリーンが鏤められていた。そしてネイビー・グレーをベースに用いることで、上品な60年代の雰囲気を醸し出した。その中でも、ジョンが弾いていたギターのベージュは優しい色味のジャケットやパンツに落とし込まれる一方で、リンゴ・スターが着ていたアウターのビビッドなオレンジ、ジョージが着ていたインナーの赤は、そのままブーツやニットの色に用いられた。これは月日を経ても色褪せないビートルズの姿と受け取ることができる。

さりげなく取り入れられていた遊び心のある素材もビューティフル・ピープルらしい。60年代をイメージしたAラインのミニスカートやチェスターコートは、ビートルズのレコード会社apple recordにちなんだリンゴをヒョウ柄に見立てたウール素材を用いた。ビートルズの名曲「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」から着想した小さなイチゴ柄を刺繍したシャツは何ともお茶目だ。

2014年春夏コレクションでは、ビートルズやローリングストーンズといった60~70年代のロックスターが映るモノクロ写真をデザインソースに、リネン素材の濃淡でモノクロの世界を描いた。今回も同様にデザインチームが憧れる雰囲気はそのままに、独自のフィルターを通すことで現代のファッションシーンへと変換した。

「THE beautiful people」から生まれる一着

ビューティフル・ピープルと言えば、パターンや素材にこだわった仕立ての良いアウターが毎シーズン支持されているが、今季は秋冬ということ以上に特に力を入れていた印象が強い。

ルーフトップコンサートが行われた日の気温は2℃と言われ、ジョンは同伴していた恋人のオノ・ヨーコから借りたラビットコートを、ジョージはパティ・ボイドから借りたカルガンラムのファーコートを羽織っていた。このエピソードから、ファーストルックはレディースのカルガンラムのダッフルコートから始まり、最後はメンズの同じアイテムで締め括った。

トラペーズラインのトレンチコートは、英国士官が乗馬用パンツに用いたキャバルリーツイルメルトン素材を使用した。サイドの丸いスリットと素材の厚みによって動きの出る特徴的なパターンと、素材選びにこだわりを感じる。

またビューティフル・ピープルを語る上で外せないのがジャケットである。今回は、ポール・マッカートニーが愛用していた「Nutters of Savile Row」のテーラーをイメージし、長めの着丈に大きめのラペルで仕立てたナチュラルショルダーのダブルジャケットを制作した。少しシェイプしたラインも絶妙な計算がされており、ボーカルで企画生産担当の米は日本一のジャケットを目指しているという。「後半に登場したダブルフェイスのコートは4年程展開しているが、これは米が日本でも指折りの工場を探して手で縫って貰っているもので、今回は一番良い仕上がりになった。」とデザイナーの熊切は述べ、デザイン以外の部分での重要性を改めて強調した。

ビューティフル・ピープルの技術力を示すアウターとして、120~160cmサイズで展開するトレンチコート(通称「キッズトレンチ」)が定番であったが、今回はキッズトレンチに並ぶ定番が生まれることを期待させるアウターのラインナップであった。

新鮮であり続けるベーシックスタイル

実際のコンサートフィルムではビートルズのメンバーはもちろんのこと、コンサートに集ったビジネスマン達の着こなしも決して古さを感じさせない。フィルムの中でメンバーが履いていたブーツカットのパンツをコレクションではストレートにし、レザーのクラッチバッグを取り入れることで流行り廃りの無いスタイルを今日へとブラッシュアップした。

今回のコレクションについて「面白みはないけどこれが今自分たちのやりたいことで、テーマに固執しないでできた」とデザイナーの熊切。世界中で愛されるビートルズに自分達の姿を重ねた演出は、決して完璧とは言えない。しかし、デザインチームの4人それぞれが役割を果たすことで一枚の服を制作していることを示した。

ビートルズをデザインソースに用いたのは今回で3シーズン目であったが、ルーフトップコンサートを選んだことはビートルズシリーズの締め括りではないかと考えられる。来シーズン以降はまた違ったビューティフル・ピープルが私たちを魅了してくれるのではないだろうか。

趣味や年代を超えたベーシックで上質な服の美しさは「ACROSS THE UNIVERSE」というテーマに乗せ、ブランドの確かな自信として表れていた。”ベーシックで品質の良いブランド”に留まらず、キッズシリーズを代表とする独自のパターンを追求する姿勢・ユニークなストーリー性を更なる価値とし、今後も東京ブランドを牽引していくことを確信させるコレクションであった。

文:石川 千央

beautiful people / ビューティフル・ピープル

「何か新しいもの」をコンセプトに、熊切秀典(企画デザイン)、戸田昌良(パターン)、米タミオ(企画生産)、若林祐介(セールスプロモーション)の4人が中心になっている。大人と子供が共有できる“キッズライン”など、確かな技術に裏打ちされたウィットに富んだコレクションが特徴。また東京ブランドでは珍しくプレコレクションにも力を入れている。昨年には初の直営店をオープンするなど、業界内外から高い支持を得ている。

designer

熊切 秀典
Hidenori Kumakiri

collection

2016 s/s

2015 a/w

2015 s/s

2014 a/w

2014 s/s

2013 pre autumn

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2012 a/w

2012 pre autumn

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2011 a/w

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2010 a/w

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