designer
Keisuke Nagami
model
Moga Mogami
model agency
Moe japan
look photographer
Shintaro Yamanaka

hatra 2013 spring & summer collection

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パーカーから拡張した中和力

「hatra(ハトラ)」による2013年春夏コレクションが発表された。今期も例年通り、具体的なテーマ名を設けずに、コンセプトキーワードである「部屋」を据えて、パーカーが持つ中和力を大事にしながらボトムスなどを発表した。

パーカーの中和力を抽出して、拡張していくには?

先シーズンは、ネオ・パーカーブランドとしての再スタートした意味もありパーカーとカットソー以外のアイテムは用意しなかった。そこで今期について、デザイナー 長見佳祐は「肝心なポイント(中和力)を抽出して、パーカーの外側からイメージを再強化が出来ないか?」と考えた。

ついに答えを出した、中和力を秘めたハトラのパンツ

その背景もあり最も注目したのは、ゆったりとした巻デニム。キッカケになったのは、友人からお土産に貰ったタイパンツだった。「股が隠せて、楽だからずっと履いていた」ことから生まれた、実に“らしい”答えだ。パーカーのフード同様に、他人には触れられない、自分の体と服の間にある距離を念頭に安心感を与えるシルエットを表現した。また、折り返して履く仕様したことで、本人曰く「(股に対する)二重の安心感」が生まれた。8オンスで軽さがあるのも春夏らしい素材チョイスである。

今にして思えば、デビューコレクションのボトムスも股上が深かった。当時は今ほど、ブランドの方向性として明瞭でないにしても、潜在意識として性差に対するコンプレックスが妙実に表れていたことが読み取れる。

脱スタイル主義へ

何より興味深いのは「『パーカーには、こういうパンツが合います』と言いたいわけではない」ということ。これも先シーズンで述べた「ライフスタイルなどを統一された世界観に馴染みがない」という言葉からも理解できる。あくまでパーカーの代用した考えで生み出したアイテムであり、「ブランド側からライフスタイルやスタイリングを提案したくない。想いのよらないところにいく方が自然で面白い」というのは、従来のファッションブランドとは決定的に違う考えだ。デザイン画を描く際も「対象アイテム以外は裸」だといい、デザインプロセスから実行している。

2シーズン続けて、アイドル 最上もがをモデルに起用する理由

ハトラのルックは、スタイルを提案したくないのと同様に「人物像を出したくない」という考えも持っている。だが、その持論だけではマネキンの方が人物像を消してくれるのではないか?・・・2シーズン続けて「でんぱ組.inc」の最上もがを起用した理由と矛盾してきてしまう。そのことについて聞くと「アイドルには自分を投影できる余白がある」と返ってきた。本来なら、アイドルの魅力を全面に打ち出すところを、あえてノーメイクで胸にサラシを巻いてアイドル像を消したことにハトラとしての捉え方を感じた。

なぜ、上半身・横から撮ったルックブックなのか?

今期は、前途したように巻デニムが大きなポイントであるにも関わらず、上半身のみのルックブックで形成した。また、正面からではなく横向きを採用した。お世辞にも見やすいとは言い難いが「正面ではフードの良さがあまり伝わらない。(ポーズなどを変えないで)整然と並ぶ人形のように、なるべくモデルの人間味を削いで均等にみせたかった」という。しかし、ボトムスだけでも撮ることにも挑戦したが「うまく撮れなかった」という。この点については、今後スタイルを提案しないで、どのようにしてアイテムを見せていくかを楽しみにしたい。

マイナーアップデートが示した、ハトラの未来像

パーカーも先シーズンから大きな変化はなく、プリントも引き続きアーティスト mynaが手掛けた柄を起用したようにブランドとして全体的に大きな変更はない。今期は、先シーズン話していた通り「トータルでやるとデザインやテクニックが甘くなってしまうからこそ、まずは専門性を磨きたい」という言葉を象徴するように、前シーズンからマイナーアップデートするように拡張した。それはインクジェットプリント一つとっても色味の調整に時間をかけて物としてのクオリティーを高めていることが垣間見える。

着実に一歩ずつではあるが、確実に成長を遂げていることが感じ取れるラインアップ。そして、なにより「中和力」という明確なキーワードが、今後の新しいアイテムを誕生していく重要な伏線になっていきそうだ。

取材・文:スナオシタカヒサ

HATRA / ハトラ

フードウェアを中心に「部屋」を主題に居心地のよい服を追求・提案している。ブランドをスタートして僅か1年にも関わらず、「Future Beauty 日本ファッションの未来性」展への出展やレディー・ガガへの衣装提供を行なっている。所謂、ファッションの世界だけに留まらず、コスプレイヤー うしじまいい肉の衣装製作、現代アートグループ「カオス*ラウンジ」とのコラボレーションなど、クロスオーバーな活動が特徴。

designer

長見 佳祐
Keisuke Nagami

collection

2016 s/s

2015 a/w

2015 s/s

2014 a/w

2014 s/s

2013 a/w

2013 s/s

2012 a/w