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Queen
designer
Masaya Kushino

Masaya Kushino 2012-2013 autumn & winter collection

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女王のクローゼットを彷彿とするアクセサリーワールド

「Masaya Kushino(マサヤクシノ)」による「Queen」展が発表された。会場では、ブランドを立ち上げた2008年~最新作「Queen」まで、約4年分の作品が一堂に会して展示された。

普段はイベントや撮影会場として使われるスタジオを貸し切り、まるで女王のクローゼットを彷彿とするような空間に、一点一点丁重に作品が飾られた。自身のアーカイブコレクションをはじめ、東コレブランド「SOMARTA(ソマルタ)」とのコラボレーションで発表したバッグやシューズ、クラシック家具メーカー「Daniel(ダニエル)」とのコラボレーションを行った新作のレザーチェアーも展示された。

最新作「Queen」シリーズについて、デザイナー 串野真也は「最近はコンセプチュアルな作品が多かったので、逆に『カッコイイ』、『カワイイ』、『美しい』のようなファッションの本質的な部分を見せたかった。その中で、究極的な美の象徴として『Queen』に辿り着いた」という。例年以上に自身の美意識と向き合い、大地・光・闇・茨・戦といった様々なイメージシーンを思い描いてシューズデザインに落とし込んだ。デザインする際に「横や斜めから観たシルエットを意識している」というように、展示では横から観るような状態で並べられた。

また、今期の特徴は「例年以上に女性を意識し、天然鉱石と人工的な美しさを組み合わせたかった」というように、素材同士の組み合わせを強弱のある印象にし、どのアイテムの素材にも光沢感や手の込んだ装飾的な要素が加えられている点である。女性の心を鷲掴みにするキラキラとした輝きには、チープさを微塵も感じさせない王道の美しさを追求していることがうかがえる。

象徴的なのは、ヒールに秘められている。17cmで統一されたヒールの高さについて「高ければ高いほど良いわけではないが・・・実際に飾った時の見え方や歩いた時の歩きやすさのバランスを追求した結果、17cmという答えが出た」という。そして、これまでの作品よりもソールとアッパーの間にあたるストームに面積を出すことで安定感も増した。

見た目の美しさに気を取られがちだが、「常に日本の美意識や伝統芸術を自分なりに解釈して取り入れることを意識している」というように、金箔を埋めるように縫い上げた焼箔の処理方法、ヒールに用いたエイ革は刀の鞘からインスピレーションを受けている。素材に対しても、ビンテージや貴重なレザーを取り扱う京都の革屋で厳選したクロコダイル・フォックスファー・ゴート・オーストリッチ、バッファローなど、選び抜かれた高級素材を使っている。どの作品も、デザイン・アイデンティティ・マテリアルに対して自身の美を体現し、正に“女王が履く靴”に相応しいラグジュアリー感が引き立てている。

これまで都内での展示機会やアーカイブを見せることが少なかっただけに、アーカイブも併せて展示したことについて「まだまだだと思う反面、自分のなかで迷いがなくなってきた。自分が作る意味やアイデンティティ・・・自分らしさが出てきた」と振り返った。目に見える美しさだけでなく、作品毎に縫製などのクオリティーも着実に成長を遂げている。今後は、デイリーアイテムの展開や日本だけでなく海外での発表にも期待したい。

写真・文:スナオシタカヒサ

Masaya Kushino / マサヤクシノ

「現実を超越するファンタジー」をコンセプトに、シューズやバッグなど芸術性の高い作品が特徴。感度の高い作品は、ファッション業界のみならず、芸能業界からも高い支持を得ている。コレクションラインアップの充実とブランドとしての更なる飛躍に期待したい。

designer

串野 真也
Masaya Kushino

collection

2012 a/w