support surface 2015 spring & summer collection

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白く映る姿から

2014年9月10日「support surface(サポート サーフェス)」による2015年春夏コレクション「White blank」が発表された。今期は「白」に宿る精神性に着眼し、厳しさの中にある凛とした美しさを表現した。

サポート・サーフェスで追求しているのは、袖を通すことによってその品質の良さを感じる事が出来、
又、衣服を着た女性の表情や立ち居、振る舞いを、より美しくさせる衣服をつくり出す事です。
(中略)
サポート・サーフェスは、殆どのデザインを立体裁断から行っています。
つまり、ボディにまとわせた布に向き合い触れながら、デザインを考えていくのです。
(サポート・サーフェス公式HPより一部抜粋)

まずサポートサーフェスを考えるにあたり、正面からのルック画像だけではなく、映像で見ることをお勧めしたい。女性の所作や立ち振る舞いなど「動き」を伴った状態において、正面・横・後ろ姿とそれぞれに違った豊かな表情を見せる。

毎シーズン決してコンセプチュアルなコレクションではなく、飽くまで主体である女性を魅せる服を追求している。ショーにおいても、ブランドとしてもバランスを綿密に計算し、そのスマートなクリエーションであるからこそ、デザイナーの研壁氏の目には現代の女性がどう映っているのかが服となって時に直接的に、時に間接的に表れるのではないだろうか。

では何故今、「白」にフォーカスするのだろうか。デザイナーの研壁は次のように語る。「今流行っているものの次を考えた時に、緩くふわりとしたものよりも凛とした厳しさが必要かな思い、ブラウスやシフォンの透け感よりも白シャツのような”これから白を染めていくんだ”という精神的な力強さが新鮮ではないかと思う。精神的な余白をイメージをした。」

そもそも「白」は、全の色の可視光線が乱反射され、その物体の表面を見て人間が知覚する色である。これを象徴するかのようにファーストルックは白いシャツに白のパンツ、そしてドレスシューズの一部とベルトは虹色に輝くメタリック素材で幕を開けた。

この繊細な白をどう展開していくのかが今季の見所であるが、「白シャツコレクションをやりたかったくらい」とデザイナー研壁氏が述べるように、白シャツは今季第一の注目ポイントである。序盤には立体的な襟やデコルテが見えるシルエット、切り替えや裾の丸いカッティングが特徴的なシャツなどバリエーション豊かに揃え、真っ赤なパンツと合わせた潔いコントラストが”精神的な力強さ”を強調する。

モデルは皆髪をタイトにまとめ、風に棚引くこともなく、黒い太めの眉、真っ赤なリップはどこか日本的な印象であるが、これは「純白・純粋よりもキャンバスのイメージで、オフホワイトではなく、サラシのような白の厳しさを表現したかった」ということに通じているのかもしれない。

縦の落ち感より、横の張り

今期はこれまでサポートサーフェスが得意としてきた落ち感のある素材は比較的抑えられ、張りのある素材が多用されていた一方で、立体裁断ならではの艶やかなシルエットは健在であった。

特に注力したというコットンには少し樹脂素材を混ぜ、多くのアイテムの後ろ身頃は構築的な仕上がりになっている。前身頃よりも長めに引いてあるパターンも今期の特徴である。
更に白シャツと並んでメインとなった白のコットンパンツは、これまでよりもゆとりのある作りで、モデルが着用して歩くことで表情の振り幅が大きくなり、マテリアル自体は透けていないが、歩く度に服自体に風が抜けることがよくわかる。

またこれまでは4~5割のアイテムにギャザーを寄せていたが、今回は素材が張りのあるものへと変わったことで、タック・畳みなどの折りを積極的に取り入れ、立体を演出している。袖をフリル仕立てにしたり、特にギャザーの多かったワンピースも折ることで一筋の線が大きく生まれ、背筋を正したような美しさ、はたまた厳しさへと繋がっているように感じることができる。

他にもメリハリのある素材が多く組み込まれていた。女性らしい上品なピケ素材のノースリーブは、柔らかなコットンだけでなくポリエステルとの混紡で作られ、またレースの代わりにテクニカルなメッシュを用いることで、グラフィカルなアイテムが無くてもコレクション全体に抑揚をもたらした。重たい印象のニットも編み目を部分によって軽くしたり、細部に至るまで計算されたバランス、そして身体に寄り添った表現が「サポート・サーフェス」である。

女性を立たす「白」

ファーストルックに黒人モデルを用い、「白」を最大限にかつスマートに打ち出した幕開けであったが、モデルのセレクトについては、「ヨーロッパにいた時から東洋人の女性が綺麗に見え、同じ服でも見える美しさが違う。これまでも白人と黄色人の美しさの違いはずっと表現してきたが、白シャツには黒人だと思い立ち、モデルをリサーチした。白人とも黄色人とも違う美しさがある。」と研壁氏は述べる。

フィナーレには、モデル全員が全身白のアイテムを纏い一同に並び、女性が持つ奥ゆかしさ・艶めかしさに加え、今期はその根本にある芯の強さが表れているように思われた。

近年トレンドに浮上した「クロスジェンダー」からは一歩引き、今一度、女性本来の上品な姿を考えさせられるコレクションであった。

文:石川 千央