- date
- 2012/5/5
- place
- VACANT
- theme
- Impurity
- designer & art direction
- Yoshikazu Yamagata
- stage direction
- Michio Hoshina
- stage lighting
- Michinari Marui
- hair & make
- Yumi Kikuchi
- movie
- Isao Kanemaki
- model
- Rino Ichinohe
- Mitake
- Special Thanks
- NANASAI
- KOBE FASHION MUSEUM
- FUJI INDUSTRIAL ARTS
writtenafterwards 2012 collection #0000
updated
現実と非現実がツイストする「奇妙」で「不思議」で「意味不明」なコレクション
「writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)」による「第三章 love affair 秘密の浦島アダム太郎」が発表された。会場では、写真家「ベルナール・フォコン」の作品が展示され、時代を超えた「新たなる現実と非現実」な空間が生まれた。
第三章
アダムはひどく赤面した。
光の先に広がる人々の装いを目にしたアダム一家。
装う事への欲望にかられたアダムは一人、旅に出た。むかしむかしあるところに浦島アダム太郎という装いを求めて旅をする一人の男おりました。
ある日アダムは、子供たちにいじめられている亀に出会いました。
アダムは持っていたお金を子供たちに渡し、亀を助けると、
亀は助けてもらった御礼に、アダムをのせて海の楽園へと向かいました。月日は流れど、いっこうに帰らぬアダム。
寂しさに耐え切れなくなったイブは、子供たちをつれアダムを探す旅へ出る。壮絶な旅を続けたイブたちは、ついにアダムが海の楽園へ向かったという手がかりを掴んだ。
海の楽園へと向かったイブがその先で見たものとは?writtenafterwards 「第三章 love affair 秘密の浦島アダム太郎」 プレスリリースより
なんなんだ・・・これは?
会場に足を踏み入れると、入り口にはデザイナーが学生時代の卒業コレクションで発表した「裸の王様」が立っている。王様を嘲笑うように少年のマネキンが指をさしている。その少年の正体は奇妙なリアリティで人々を魅了してきた写真家「ベルナール・フォコン」の作品である。意味がわからないままゆっくりと階段を登る。階段を上がりきった目の前には・・・複数のマネキンが亀を囲み、スモークの中を亀の上に乗ったマネキンが縦横無尽に動き回っている。目線を先にすると、来場者が覗き穴からマネキンと同じように覗き込んでいる。思わず声に出てしまいそうになるほど異様な光景。マネキンと人間が入り交じる奇妙な空間は、理解を超えた圧倒的な空間を観て皆一様に笑みが溢れる。
そして、ここに来て初めて二階に上がるまでに用意された「インスタレーション」と「プレスリリース」の意図が、ようやく繋がる。昨年、東京オペラシティで発表した「第一章 new world order 動物たちの恩返し」、神戸ファッション美術館で発表した「第二章 the human’s no clothes はだかのアダム」の続きとなる、新作インスタレーション「第三章 love affair 秘密の浦島アダム太郎」の幕開けなのである。これらは、全てデザイナー自身が創り出した物語である。
自分の装いを求めるアダム。その途中で亀を助け、竜宮城に案内されるが思わず「浮気」をしてしまう。怒ったイブは鬼になり、涙を浮かべながら子供たちを連れて竜宮城へ向かう。
この元も子もない話は、まるでデザイナーの精神性を表しているといっても過言ではない。日本の童話や宗教の歴史、様々な要素が山縣良和によってユーモアと伏線を生み出している。第一章からの経緯について「僕のなかにある使命感として『ファッションのクリエーションをどう価値化するか?』というのがあって、そこから『もう一度、ファッションを紐解いてみよう』と思った。僕が描きたいのはファッションの純粋性と不純性。本質と思われていたものが、さらっと本質ではなくなる、絶対的なものの不在。それを物語を描く時にも入れていて、最終的に“意味不明”な次元に持っていきたいという想いから」と語る。
フォコンが「現実と非現実」の狭間を表現した作品は、同じようにその狭間を表現する同ブランドによって、時代を超えた「新たなる現実と非現実」な空間として蘇った。
尚、「秘密の浦島アダム太郎」の続きは、遂に「布」となり「服」となり、今秋のファッションウィーク期間中にランウェイショーが行われる予定となっている。突っ込みどころ満載の笑いあり!涙あり?の壮大な構想、新しいファッションの歴史を創りだす第一幕が次回で完結する。
これがファッションと呼べるのか?、これでブランドとして成立するのか?
時に、リトゥンアフターワーズに纏わる業界の反応は冷ややかさえ交じる。だが、来場者の多くは会場に長居し、そこから“何か”を感じようと作品を眺めている。100の批判も、0点のコレクションでも、リトゥンアフターワーズは止まらない。「一体、どこへ進んでいくのだろうか?」・・・私達がモヤモヤせずにはいられないクリエーションに今後も期待したい。
写真・文:スナオシタカヒサ
writtenafterwards / リトゥンアフターワーズ
「装うことのいとおしさを伝え、流行の成り立ちや本質を伝えること。創造性を持って“今”を表現していくこと。そして心に届けること」をコンセプトにしている。ファッション=服という考えに収まらず、そのクリエーションは賛否両論を必ず巻き起こす。また、自身のコレクションのほか「ここのがっこう」を主宰し、これからの未来を背負っていく後進の育成にも力を入れている。
designer
山縣 良和
Yoshikazu Yamagata
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