- date
- 2012/10/19
- place
- belle salle SHIBUYA GARDEN
- theme
- IN YOUR HEAD
- designer
- Takeshi Kitazawa
- Emiko Sato
- show director
- Shinji Torigoe
- stylist
- Yoshi Miyamasu
- hair
- CHINATSU
- show make
- James Molloy and the M.A.C Pro Team Make-up provided by M.A.C
- movie make
- Mariko Tagayashi,M.A.C
- music
- NOOS.
- music song
- IN YOUR HEAD
- moive
- Malcolm Pate
- show model
- STEFAN
- ALEX
- ANGUS
- AMANDA Q
- BENJAMIN
- CHLOE
- movie model
- DOUGLAS NEITZKE
- model agency
- Donna Inc.
- EXILESHYPE Inc.
- ACTIVA MODEL AGENCY
- Image Models
- WIZARD MODELS
- model casting
- DRESSEDUNDRESSED
- show press
- PR01.
- image photographer
- Malcolm Pate
DRESSEDUNDRESSED 2013 spring & summer collection
updated
止まない黒の追求、内面に秘める抽象性に着眼
「DRESSEDUNDRESSED(ドレスドアンドレスド)」による2013年春夏コレクション「IN YOUR HEAD」が発表された。今期は、20世紀を代表する画家「フランシス・ベーコン」の言葉や作品からインスピレーションを受け、内面に秘める抽象性や引き続き“黒の追求”を行った。
自身の内面に秘める殻を破るように・・・
静寂の暗闇のなか、先シーズンのランウェイデビューに引き続き、数多くのブランドを手掛ける「MALCOME PATE(マルコム・ペイト)」のイメージムービーからショーが始まった。映しだされたモデルは、今期のインスピレーション源でもある、ベーコンの“頭部は生きた存在の顔”という言葉を象徴するように、ゆっくりとロングジャケットのボタンや顔に覆われたフィルムを外す。決して名言として引き継がれている言葉ではないが、この着眼点こそがドレスドの2013年春夏コレクションを語るうえで重要なキーワードになる。
時計の針音のような音色とともに映像が終えると、会場は暫し真っ暗闇と無音が続いた。緊張感漂わせる空気感のなか、インダストリアルミュージックと共にモデルが登場してきた。今期はジャケットやシャツといったシックなアイテムをベースに、シンプルなスタイリングを打ち出した。そこに、カウハイドのトップスやサイレングスパンツ、チェーンアクセサリーといったドレスドらしいアクセントアイテムが際立つ。
「服はアートじゃない、あくまで着る人を引き立たせる服でありたい」
ショーの中盤に差し掛かると、ベーコンの名作として知られる『頭部』シリーズを彷彿とするような抽象的なプリントが登場してきた。遠目には、無作為にサッーとスプレーを施したインクジェットプリントにも見えるが、近づくと人の顔であることがわかる。マルコム・ペイトと4型制作したフェイスプリントは、撮り方や加工法を変えて多様な顔色に仕上がっていた。しかし、アイコニックな作品であればあるほど、通常のファッションショーでは序盤や終盤に展開する傾向が強い。あえて、中盤に登場させたことに「自分達がDJをやっていたということもあり、音楽のサビのようにショーも真ん中でピークを迎えたいというのがあった」とルーツを活かした楽曲や演出構成を行った。
様々なスタイリングで随所に登場したチェーンは「内面の歪んだ感情をイメージ」して、異なる形をしたチェーンの連なりで表現した。その他にも、ベーコンの肖像画の特徴でも歯をモチーフにしたリングを制作した。だが、テーマと直接的な繋がりのある服は、前途したフェイスプリントのみだった。服のカッティングやテキスタイルにおいて、テーマ性で遊ばなかったことについて「服では逆にピュアな雰囲気にしたかった。服はアートじゃない、あくまで着る人を引き立たせる服でありたい」というブランドフィロソフィーの姿勢を表すためだった。
男女兼用の服から男女共有できるデザインの服へ進化
ショーの後半では、前半と同様に同じアイテムとコーディネートを纏ったメンズとレディースが登場した。厳密には同素材でメンズ用とレディース用にデザインをしており、体のフォルムを活かしたラインやポケット位置などが異なる。服作りにおいて基本中の基本ではあるが、ユニセックス色が強かった同ブランドが今まで以上に性差に対して挑戦した部分でもあった。そのため、アーカイブよりもフォーマル感の強い打ち出しをしてきた狙いがそこにあったかもしれない。また、ドレスドの「顧客は8割方が男性」だが、マスキュリンな女性のニーズにも応えるという点では、着実にブランドとしての成長を目指して生まれた姿勢と捉えることができる。なにより、ブランドコンセプト「二面性の結合」を男女兼用の服から男女共有できるデザインの服へ進化を遂げた。
「分かりやすいことが、あまり好きじゃない」というように、ドレスドの打ち出した内面性はそう簡単に見えてこないかもしれない。もしかすると、個々が自由に感じた結果が「IN YOUR HEAD」に繋がってくるかもしれない。
なぜ、ドレスドアンドレスドはモノトーンを敬愛するのか?
そして、ショーを終えてから一つの疑問が沸き上がってきた。通常、春夏になると様々なブランドが秋冬に比べて明るい色を多用する。だが、ドレスドは春夏でもこれまでと同様に、黒を基調に白を差し込んでくるスタイルを打ち出した。この打ち出し方は、ドレスドに限った話ではないが「なぜ、ドレスドアンドレスドはモノトーンを敬愛するのか?」という関心が生まれた。
この問いに対し、デザイナーは「ロンドンに行ってから、自分の目や髪の色に誇りを持つことができ、その色を追求したいと思うようになった」と答えた。彼らにとって、黒という色は見た目のクールさと別に、アイデンティティでもあったのだ。今期は、ベーコンの作品で特徴的な色彩「ダークネイビー」をコレクションに取り込んだことで、新たな境地に達した。
「色んなカラーに挑戦したい気持ちもありますが、まだ自分たちのなかで黒を追求し切れていない」というように、ドレスドの“黒の追求”はまだ序章にしか過ぎない。80年代後半から先人達が追求し、陰翳礼讃(いんえいらいさん)という言葉が定着したように、日本人と黒との関係は根強い。その背景があったうえで、80年代に生まれ、ストリートファッションで育ったデザイナーがどのような違いを生み出すか?そのコントラストに今後も注目したい。
取材・文:スナオシタカヒサ
DRESSEDUNDRESSED / ドレスドアンドレスド
「二面性の結合」をブランドコンセプトに、男性らしさと女性らしさ、モードとストリート、未来と過去、光と陰といった、様々な要素を融合し制約の無い境界線を目指している。2012年にはランウェイデビューし、国内外から招聘を受けるなどここ一年で目覚しい評価を受けている。
designer
北澤 武志 / 佐藤 絵美子
Takeshi Kitazawa / Emiko Sato
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