- date
- 2016/8/23
- place
- sougetukaikan
- theme
- MEIKYOUSHISUI
- designer
- Shinsuke Morishita
- stylist
- EIJI TAKAHASHI
(ACUSYU) - hair
- TERU
- (A.K.A for propagandahair)
- make
- Rumiko Ikeda Harris
and the M・A・C Pro team
LAMARCK 2014 spring & summer collection
updated
素材への追及、進化するユビキタスクローズ
2013年10月17日「LAMARCK(ラマルク)」2014年春夏コレクション「UBIQUITOUS EXPRESSION(ユビキタスエクスプレッション)」が発表された。今季は現代技術による「偏在性」の潜在価値の追及、フェミニニティの憧憬とクリーン・シックの深化をテーマを服に落とし込んだ。
会場は中央にランウェイを導くライトが照らされているだけ、今季のイメージを表すようにシンプルなつくり。軽快な音楽とともにショーは始まった。
ベーシックとモダンの追及
ファーストルックから登場したのは、少しゆったりとしたシルエットのボーダー柄トップにスカート合わせたスタイル。ラインの太さや数など変え、ボーダーを絶妙な配置により私達が良く見る服よりも一味違った表情を見せた。
そして春夏のコレクションではあまり展開しないニットのセーターやカーディガン。リネンの極細の糸でケーブル網にすることで透け感とエアリーに、色はホワイトとパステルブルーを使用することで涼しげのあるアイテムに仕上げた。今季LAMARCKのキーワードでもある「偏在性」、さまざまなブランドが展開してきたアイテムを深く追求することで、馴染みのあるモノから新鮮なテイストに進化させていた。
デザインをそぎ落とすことへの進化
中盤で登場したスーツスタイル。ジャケットのラペルを削ぎ落としミニマムに美しくみせた。パンツは左右の裾に段差をつけているが、大きな差が無いように裾をなだらかなラインにし、歩いた時にひらひらと靡くようなデザインへ。またジャケットに合わせたサーキュリースカートは裾を切りっぱなしに。パッと見ただけでは分からない細部にまでこだわることで、スーツの堅いアイテムにフェミニニティさを兼ね備えている。
いい素材が新しいデザインを生み出す
後半は春夏らしいアイテムが多くみられた。ここでも登場するボーダーのTシャツは表面加工の凹凸に工夫がみられる。また淡いブルーのポロシャツは肩のラインに塩縮加工を施したシャドウチェックによりさりげないデザインに。ニットのセットアップにはかすり糸とポリエステルの超光沢糸の混ぜた糸を使用することで高級感のあるモノに仕上げた。
今回のテーマで森下氏がユビキタスという言葉を選んだ事がよくわかる。ITの世界で良く使われる言葉で、近年我々の生活には欠かせなくなったケータイなど”どこにでもあるもの”のことである。その概念には表面的なカッコよさだけではなく、身近にあるコンピュータの水面下の技術の進歩、ネットワーク環境など目に見えない細部にまでこだわりや構築が我々の生活を支え、豊かにしている。LAMARCKのかっこよさは素材や細部にわたるパターンを追求により、服の普遍的なデザインをエレガントに仕上げ、一般的な女性をよりかっこよいスタイルへと進化させた。
そしてラストは今季一番エッジの効いたセットアップが観客の目を引いた。横糸リネンと縦糸フィルムを使用したアイテムは機能美と近未来を感じさせるアイテムはユビキタスという言葉にピッタリだ。またわざとフリンジ状にさせているのは「どういう構造でできているかを見せたかった」とコメント。デザイナーの技術を隠すのではなく公開するというデザイナーとしての姿勢が伺える。オープンソースという現代的な考え方をLAMARCK独特のファッションに取り入れた。
斬新なデザイン、派手なテキスタイルではなく、新しい素材や細かなディテールというミニマムなところで勝負している。会場をシンプルにしたことについては「素材の良さ伝えたかった」というように素直に素材や細かなデザインに目を向けることができた。ショーという短い時間の中で、ベーシックなアイテムだったが服の良さが伝わり圧巻であった。”いい素材が良い服を作る”LAMARCKのスタンスがよく伝わる今季のコレクション。ブランドとしては若手にも関わらず服はとても貫禄があった。モデルを大人の女性ではなく童顔の子を起用しているのは、現代の若い女性のスタイルへの提案なのだろう。ユビキタスという言葉の裏には、LAMARCKの新しい素材への挑戦、ディテールや縫製など細部にまでこだわることで、ベーシックなアイテムを好む女性をエレガントにし、彼女らの魅力を引き立たせることが含まれていた。
文:徳永 啓太