- date
- 2012/10/19
- place
- IDOL
- theme
- UN
- designer
- Shinsuke Mitsuoka
- show director
- Takashiro Saito
- stylist
- Shunsuke Okabe
- hair & make
- Jun Matsumoto
- selection of music
- Setsuya Kurotaki
- model
- Lubomir
- Geni
- Marcelo
- Alex
- model agency
- ACTIVA MODEL AGENCY
- show press
- ESTEEM PRESS
- look photographer
- Hideyuki Seta
liberum arbitrium 2013 spring & summer collection
updated
期待を裏切らない着実な成長と課題が残った2シーズン目
「liberum arbitrium(リベルム アルビトリウム)」による2013年春夏コレクション「UN」が発表された。今期も抽象的なテーマとキーワード挙げながら、モノトーンモード色から一変して色彩やストリート要素を加えたスタイルを提案した。
構築中/未完成
非構築的
隠さない
無意識の
受け継ぐ
打ち消し
liberum arbitrium 2013 spring & summer collection プレスリリースより
ブランドの方向性を受け継ぐラインアップ
コンクリートが抜き出しになったインダストリアルな空気感が漂う地下会場で、ブランドにとって初のモデルをつかったインスタレーション形式で発表した。
今期もファーストルックから“らしさ”を感じさせる線や素材の切り替えが目立つアイテムが登場してきた。特に2ルック目に登場したカットソーの切り替えは数ある独自線のなかでも非常にセンスを感じさせられた。バストラインとウエストラインの間で設定することで視点が上がることで、足を長くみせる効果を生んだ。これが少しでも位置を上にしたら女性的なニュアンスになり、下にしたら野暮に見えてしまう・・・その絶妙な高さは2〜3回に渡るトワル組みの試作を経て誕生にした賜物である。
縫い代処理に一つとっても、単にカットオフでなくラバーコーティングするなど一工夫があり「隠さない」というキーワードを昇華した。その他にも言葉で形容することが難しいが、人体の構造や機能などを計算したうえでデザインとして遊びが入っており、パタンナーの力が現れていた。
多様なボトムスが作り出したストリート性
また、スタイルとして違いを生み出したのにはボトムスデザインの力が大きい。先シーズンは秋冬、そしてデビューコレクションということもあり、ボトムスでの幅が少なくトップスで違いを作り出していた。だが、今期はショートパンツやクロップドパンツなど、多様なレングスや素材感で違いをみせることで幅を広げることに成功した。
ドロップショルダーや面倒なことを気にせず着れる「リラックス感を出したかった」というように、素材の肌触りも良く適度なラフさがストリート感を生み出し、とっつきやすい印象を与えた。
脱モノトーンが示した、ブランドのポテンシャル
中盤になると先シーズンとは目に見えて大きな違いが生まれた。それはブランドとしてのアティチュードを保ちつつ、ビビットカラーを取り入れてきたこと。
前半でもブラックやホワイトを基調色にしながら、ネイビーやダークグレー、シルバーを入れたことで先シーズン以上に色で幅を見せていた。そこにマスタードやゴールデンオーカが入ったことで、コレクションのラインアップとしてグッと印象が上がった。
モノトーンをベースにしながら差し色を挟み込むことで季節感と同時に、デザイナーとしてのポテンシャルを持ち合わせていることを証明した。一言でビビットカラーといっても、パリっとした表情ではなく、深みと落ち着きがある色合いである。同系色でもマットなコットンやシャイニーなシルクというように素材感でも色のコントラストを付けた。そのため、突飛な印象を与えずリベルム アルビトリウムが使うカラーパレットの方向性を示した。
モード軸でデザインが進んでいくと、なかなかモノトーンから脱却が図りにくくなる。事実「相当な勇気をつかった」と言ったが、それでも2シーズン目からあっさりと色を使ってきたことに良い意味で期待を裏切らないセンスが伝わった。
後半では、逆に色を使わずにブラックとホワイトで色構成を行い、プレスリリースに記載があった「受け継ぐ」を象徴するフィナーレだった。
ショーを終え、このような違いを生み出したことについて話を聞いた。デザイナー 光岡慎介は「(デビューシーズンを経て)色々な人やショップと出会い凄く考えるようになり、ブランドとしても次のステップに登っていかないという気持ちでチャレンジした」という。意識改革によって引き出されたことが起因している。
見せ方の追求に期待
デザイン面が飛躍的に成長した反面、布の皺(しわ)やインナーの出し方をみると、先シーズンのような手から零れ落ちそうな繊細さ、ルックを見るだけで伝わった贅沢な緊張感が消えてしまったように見えた。
プレゼンテーションになれば、着替え時間もありルックブックほど一体一体のスタイリングに対して細かい部分まで詰めることが出来ない弊害がある。だが細部を忘れさせるアバンギャルドな方向でブランドを展開しているわけでもないので、スケール感でカバーすることも出来ない。そうなると、やはり着実な服作りをしていることが伝わるプレゼンテーションでなければ魅力も半減してみえてしまう。
これらの理由とブランドの特色から考えると、プレゼンテーションとしては最大限の魅力を引き出せていなかった。だが、多くの問題はデザイナー一人で抱えるだけでなく、経験などでカバーすることが出来るので大きな心配はない。
前途したように、デザインやスタイルの幅に関してはブランドの進化がハッキリと感じれただけに、次回は見せ方にも繊細で緊張感あるリベルム アルビトリウムの世界観を堪能したい。
写真・文:スナオシタカヒサ
liberum arbitrium / リベルム アルビトリウム
第35回神戸ファッションコンテストで入賞し、2010年にロンドンの「Nottingham Trent University(ノッティンガム・トレント大学)」を首席で卒業。ロンドンコレクションにてレディースコレクションを発表し、満を持して日本デビューを果たした。ラテン語で「自由意志」を意味するブランド名通り、何者にも縛られない姿勢を目指している。
designer
光岡 慎介
Shinsuke Mitsuoka
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