designer
Yasuhiro Mihara
stylist
Robbie Spencer
hair
Odiele Gilbert
make
Marie Duhart
model casting
Sibylle de Saint Phalle

MIHARAYASUHIRO 2013 spring & summer mens collection

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ライダースジャケットからインスピレーションを受け、自由に向かう精神性を表現

「MIHARAYASUHIRO(ミハラヤスヒロ)」による2013年春夏メンズコレクション「Wild at Heart」が発表された。今期は、ライダースジャケットを軸に、付随するキーワードとしてロードムービー『Wild at Heart』やレーサーのイメージをコレクションに展開した。

噴煙を上げるコンバーチブル。
物憂げにくゆらせる紫煙。
グリースで固めた髪。
青毛の馬の艶やかな毛並み。
硬く糊付けされたウイングカラー。
滑らかに肌を包む白いTシャツ。
チューンナップされたバイクの堅牢なチェーン。
ライダースのファスナーやスナップボタン。
MIHARAYASUHIRO 2013 spring & summer mens collection プレスリリースより

「ショーの音楽は、空間を一瞬で変化させ、一体感を持たせるためにとても重要なもの」

バイク倉庫を想起させるインダストリアルな空気感が会場に漂うなか、開始を告げるインストゥルメンタル・ミュージックが始まる。それと同時に、3m✕7mの大きなバックパネルでは、アーティスト 「JUN INOUE(イノウエジュン)」によるアブストラクトなライブペインティングが始まった。デザイナー 三原康裕が「ショーの音楽は、空間を一瞬で変化させ、一体感を持たせるためにとても重要なものだと思っています」というように、ジャズピアニスト 上原ひろみのロマンティックな即興演奏がルック登場の開始を告げる。

ミハラヤスヒロの真骨頂溢れる、ライダースコレクション

ファーストルックは、ライダースのディテールをスーツに落とし込んだセットアップ。目を凝らすと、シングルライダースの襟をテーラードジャケットの襟に置き換え、パンツのベルトループにはライダースジャケットのウエストベルトを転換していることがわかる。そして、ベルトループ部分は取り外しが出来るファスナーが付くことで、クリーニング時などのメンテナンスを考えた“ミハラらしい”仕様が施されている。

そう、アイテム転換のデザインに定評がある同ブランドが、今期目をつけたのはライダースジャケット。Gジャン、スタジャン、トレンチコートなどのアウターにも、ライダースジャケットのディテールを取り入れたアイテムが続々と登場してきた。一見すると、アウター・イン・アウターのレイヤードのように見えるデザインは、トロンプルイユを得意とするミハラヤスヒロの真骨頂を感じさせる。

一方、肝となったライダースジャケットのデザインでは、通気性に優れたリネンニットのダブルライダースジャケットや前開きファスナーが取り外しできるシープレザーのシングルライダースなど、幅広いデザインを展開した。一見すると秋冬で着るようなアウターも、コーディネートするパンツの着丈やレーヨンサテン、テンセル、ナイロンなどの素材をつかって春夏仕様に落とし込んでいる。

「誰の心の中に存在する、自由に向かう精神を表現しようと思ったからです」

今期のテーマについて、「『ワイルド アット ハート』という映画のタイトルをテーマにしたのは、もちろんその映画の想いもあります。しかし、僕がティーンエイジャーの頃の想いを懐かしんで創ったコレクションではないです。誰の心の中に存在する、自由に向かう精神を表現しようと思ったからです」という。その象徴的なアイコンとして、アウトローな精神を持った人々、不良達が普段着として好んで身に付けていたライダースジャケットがデザインの主軸となった。

ショーが進むにつれ、高密度コットンやリネンなど乾いた風合いの素材、ライダースジャケットやオールインワンなどが登場してきた。だが、男くさいイメージのままカジュアルに落とし込まず、ドレッシーなイメージに転換した。その理由について、「カジュアルな表現は、人々に親近感や安心感を今の時代は与えると思います。しかし、僕の表現はそれだけではないと思っています。そこには親近感や安心感などに相反する緊張感や色気など、様々な印象が交錯してこそ表現が完結出来ると思っています。そのための素材であり、アイテムであり、 コーディネートだと思っています」と語る。

序盤から随所に見受けられたバイカーやレーサーのモチーフは、ウェアだけでなくシューズやアクセサリーにもその痕跡を残している。アクセサリーブランド「JAM HOME MADE(ジャムホームメイド)」とのコラボレーションによるアクセサリーは、武骨な強さを感じさせるハードなチェーンを題材にした。シューズデザインで特徴的なのは、左足のアッパーに付いたカットオフ仕様のクラッチパッド。レーサーがクラッチのために使用する靴の仕様をトラディショナルなオクスフォードやサイドコアブーツに縫い付けた。そして、その保護用途の考えを延長したデザインがカットソーなどの表面に縫い付けられたショルダーパッド。これは、バッグを肩に掛ける際に摩擦による劣化を防ぐ意味にも考えることができる。また、1907年からイギリス王室属国のマン島されているロードレース 大会「マン島TTレース」において、日本人で初めて50ccクラスで優勝した伊藤光夫のレーサー番号である「8」の刺繍がリスペクトを込めてシューズヒールやカットソーのプリントに施されているのもレーサー好きの所以を感じさせる。

ショーの中盤からはジャズピアノのフェードアウトともに、「DJ Shadow」の『Midnight In a Perfect World』のシンプルな音数とフレーズが流れ始める。「情熱的なグルーヴがアーティストの感情にシンクロし、コレクション全体を感情的に表現出来ると思いました」というように、コレクションに拍車をかける。前半の無地から一転して、パイソン柄のカットソーやクロップドパンツなど、コレクションスタイリングのアクセントアイテムが次々とあらわれてくる。キーモチーフとなったパイソン柄は、「ワイルド・アット・ハート」でニコラス・ケイジが着用していたパイソン柄ジャケットのイメージを派生し、ボンディングした後にオパール加工を施した独特の表情がある素材を開発した。

そして、終盤に差し掛かるとイノウエジュンによって描かれたペインティングアイテムが登場してきた。そこには一昔前のトレンドだった荒々しいペインティングではなく、デザイナーが「ストリートアートのグラフィティーと日本の書道が彼の感情により突発的に表現されたような世界観を持っています」と評するように、繊細な面持ちを感じさせる。

ショーのフィナーレになると、デザイナーとともにバックパネルでライブペインティングをしていたイノウエジュンが登場し大きな喝采を受けた。爽やかな笑顔とナチュラルについた服のペイントからは、ショーのメンテナンスを終えた職人のような清々しさを感じさせる幕引きとなった。

取材・文:スナオシタカヒサ


MIHARAYASUHIRO / ミハラヤスヒロ

「先入観をなくす」を基本コンセプトに、スタンダードなアイテムをアイデア・技術・手法を使って、全く新しいアイテムにデザインし、新しい価値観を生み出している。なかでも、メンズシューズは業界に革新を与え、多くのデザイナーが影響を受けている。日本を代表し、世界へ勝負をかけるブランドとしてより一層の飛躍が期待される。

designer

三原 康裕
Yasuhiro Mihara

collection

2013 a/w mens

2013 s/s womens

2013 s/s mens


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