- theme
- RAW LIFE
- designer & art director
- Wonder Worker Guerrilla Band
- stylist
- Keita Izuka
- hair
- Kenichi Yaguchi
- model
- Wilson
- keivan
- Martin
- look photographer
- Masahiro Sanbe
SASQUATCHfabrix. 2013 spring & summer collection
updated
都市型「RAW LIFE」を送るために、追求した機能性と民族性
「SASQUATCHfabrix.(サスクワァッチファブリックス)」による2013年春夏コレクション「RAW LIFE」が発表された。今期は、フィッシャーマンやハンターといった自然と隣り合わせで生きる人々の服をアイディアソースに、都会で暮らす遊び心を持つ男性が快適に過ごすために衣服を追求した。
あるものは複雑化し、あるものは単純化していく世の中。衣服はどちらに向かうのか?過剰なデザインはいらないが、ベーシックすぎて遊びのないものはつまらない。オーバースペックなものは都会の生活に必要ないが、最低限の機能は必要だ。
SASQUATCHfabrix. 2013 spring & summer collection プレスリリースより
「ストレスがない洋服を作りたかった」
今期のテーマ「RAW LIFE」を象徴するように、爽快な夏を感じさせる波しぶきのバックパネルを背景に選んだ。あえて海辺のシーンでの撮影ではなく、プリントアウトしたところに、どこか現代性を感じさせる。しかし、オーバーサイズのコート、ゆったりとしたシルエットのボトムスを中心に、重ね着ではなく巧みなコンビアイテムを活かしたスタイリングは、見ていて、着ていて、疲れない。「ストレスがない洋服を作りたかった」というように、“RAW LIFE STYLE”が浮かび上がる。
様々な部分に隠された日本のアイデンティティ
ここ数シーズンに渡り、サスクワァッチファブリックスのクリエーションは、非常に日本と密接である。例年よりもスタイルの打ち出し方には、日本色やストーリーが抑えられてきたがアイテムを個別にみると、様々な部分で日本のアイデンティティが隠されていた。
代表的な例は、日本の漁師の服装に着眼した野良着をベースに制作したチェック地のコート。「今までよりも見えないところにポイントを置いた」というように、シャツの襟やカフス、ボトムスの腰ベルトや腰裏にあしらった小紋柄も特徴的である。海の家の畳を彷彿とする、ホーウィンレザー × ヘンプを組み合わせたPC・iPad用のクラッチバッグでは、持ち手や多彩なポケットが付いており機能性も抜群。小物類にまでにもその精神が反映されていた。また、2012年春夏コレクションで好評だった「SETTA(セッタ)」の型押しレザー版となって登場した。
ルックブックには登場していないが、Tシャツラインでは、季節感を感じさせる海の生物をインクジェットプリントで施した。そこに波の潮が引いていくような美しいグラデーションを、沖縄の代表的な染色「琉球藍(りゅうきゅうあい)」で表現することで、鮮やかな紫紺の発色に仕上がっている。その他にも、マウンテンハットをビーチ仕様にしたハット、アロハの定番でもあるハイビスカスをプリントしたスキッパータイプのポロシャツなど、決してアウトドアに適した服ではないが、気軽に海や公園などに行きたくなる気持ちを後押ししてくれる。
「新しい時代のリアリティを追求し、固有の地域に住む者、この時代に生きた者にしか作れない民族性のある物作りも私たちにとって重要なテーマのひとつ」というように、ブランドのアイデンティティとシーズンテーマが見事に掛け合わせた。
「クラシカルの肯定と否定を繰り返しながら前衛的で『遊び心』のある洋服作り」
テーマやスタイルの打ち出しとは別に、今期は改めて「機能性とは何か?」を探求した。当たり前のように用いられる機能性という言葉。最新技術を応用したハイテク素材をつかうことが機能性なのか?確かに、それも機能性の一つと呼べる。だが、サスクワァッチファブリックスが向き合ったのは、よりエンドユーザーの実用性に向き合い、都会で暮らす遊び心を持つ男性が快適に過ごせるために衣服を追求した。
特に注目なのはフィッシャーマンパーカー。フロントポケットには様々なサイズがあり、バックポケットはビーチサンダルが入るサイズ感になっている。身頃の切り替えスナップボタンを外すと、服を着たまま入水できるようなショート丈のブルゾンに変化する。2wayという表面上のデザインに、パターンレベルにまで非常に計算された作品である。ボトムスでは、リネンのセイラーパンツが注目。こちらは、前身頃のボタンを外すと多種多様のワークポケットが現れるという、ユーモア溢れる仕様になっている。
ディテールアプローチでは、シャツやボトムスのポケットに、ペンやコインが入れられるようにステッチを打つことで、メインポケットと使い分けができる仕様になっている。極めつけは、脇に汗止めがついたタンクトップやスリーピングシャツのポケット。なんと裾にはコンドームポケットまでが付いており、表と裏テーマの結晶ともいえるアイディア。
見た目のカジュアルさとは裏腹に、男性服ならではのマニアックな仕様が至るところに溢れている。ファッションを「クラシカルの肯定と否定を繰り返しながら前衛的で『遊び心』のある洋服作り。時代の民度を強く反映させたものであり、常に前衛的でなければならない」と捉えるデザイナーならではの姿勢である。一つ一つのアイテムデザインからは、風土や背景を感じさせ、非常に合理的にデザインがされたコレクションといえる。
取材・文:スナオシタカヒサ
SASQUATCHfabrix. / サスクワァッチファブリックス
「HIGH PERFORMANCE VANDALISM. ALWAYS PRESENTING A SENSE OF FRESHNESS」をコンセプトに、ジャポニズムテイストをコレクションに織り交ぜていることが特徴。昨年は「東京ファッションの現在形」に出展するなど、ミックスカルチャーをストリートに落としこむデザインだけでなく、アート性溢れる作品も魅力のひとつ。
designer
ワンダーワーカーゲリラバンド
Wonder Worker Guerrilla Band
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