- theme
- INNOCENCE OF LIGHT
- designer
- Taro Horiuchi
- stylist
- Keiko Hitotsuyama
- hair
- Dai Michishita
- make
- Yuka Washizu
- music
- Shunta Hasunuma
- movie
- Genki Ito
- model
- TINA
- MELINDA
- model agency
- agence presse
- look photographer
- Hasui Motohiko
- image photographer
- Yuichi Ihara
TARO HORIUCHI 2013 spring & summer collection
updated
モードにスポーティーとストリートを織り込んだ、“都会的ニュールック”
「TARO HORIUCHI(タロウ ホリウチ)」による2013年春夏コレクション「INNOCENCE OF LIGHT」が発表された。今期は、写真『Highway, 2007』や小説『異邦人』からインスピレーションを受け、モードにスポーティーとストリートを織り込んだコレクションを展開した。
キャップ、イヤホン、スニーカー・・・タロウ ホリウチの“都会的ニュールック”
これまでのタロウホリウチを知っている人であれば、「おっ!」とするような野外での撮影、スポーティーやストリート要素をミックスしたスタイリング。キャップやイヤホンは、撮影の為に用意された物だが、これまでのモード色が強いスタイリングより、どこか親しみやすい。例年以上にカラーバリエーションも豊富になり、シルバーをキーカラーに設定したことも今までとは違う打ち出し方を示していた。一方、ショーピース色の強いドレスの提案もあり、どこかクチュール感を彷彿とさせる。それら複合的なイメージを紡ぎ合わせると、タロウ ホリウチの“都会的ニュールック”という言葉が浮かび上がってきた。
多彩な色彩ー二つのインスピレーションソースが意味するメッセージ
今期のコレクションは、二つのインスピレーションソースが大きく関係している。一つは、“堀内太郎のバイブル”と言っても過言ではない、「Albert Camus(アルベール・カミュ)」の小説『異邦人』。本作からインスピレーションを受けた2011年春夏コレクションと同じように、作中に出てくる「太陽がまぶしすぎたから」という言葉から影響を受けている。
終日撮影を敢行したルックブックは、イエロー、ブルー、ネイビー、グリーンなど、多彩なビビットカラー登場しその影響が伺える。それとは逆に、朝と夜は「ピュアにしたかった」というように、ホワイト、シルバー、ブラックを基調にまとめることで、カラーストーリーとして流れを作っていることがわかる。
裸と自然ー二つのインスピレーションソースが意味するメッセージ
もう一つのソースは、ライアン・マッギンレーの写真『Highway, 2007』。これは、実際にアイスランドのポストロックバンド「Sigur Rós(シガー・ロス)」のアルバムジャケット(Með Suð Í Eyrum Við Spilum Endalaust)を観れば世界観が掴みやすいだろう。微細で洗練された色彩、壮大な自然を背景に裸姿で走り回る男女の若者を収めた作品は、自然回帰がもたらす自由な精神性を謳っている。
総柄プリントで、椰子(やし)の木や海が映り込んでいるロケーションフォトを落とし込んだのは、そのような精神性の代表例にもみえる。ディテールでは、袖や脇、ボトムスにあしらった深いスリットに注目したい。「今回は、中が見えることが重要だった」というように、ジップで開閉が行え、インナーの色や柄をチラッと見せるスタイリングのポイントとして使えるだけでなく、まるで光を肌で感じ取れるような今期を象徴する仕様である。テキスタイルでは、約50年分のアーカイブレースから厳選して、柄や糸を配合したペイズリー柄のオリジナルレースが興味深い。布と肌の距離感で異なった表情にもなり、春夏ならでは素材チョイスである。
ストリートやスポーティーを取り入れた理由
インスピレーションソースやアイテムデザインは、実にタロウホリウチらしい一面が溢れている。しかしストリートやスポーティーの要素を取り入れてきたことに対しての意外性は拭えなかった。「ガチガチなモードの意識はあまりない」と、これまでの印象からすると不意な言葉が返ってきた。続けて「ずっとアントワープやパリ、モードの世界に住んでいて、それから東京に三年住んだことで心理的変化が生まれるのは自然なことなのかなー」と自身を客観視した言葉が、現在の堀内太郎というデザイナーの等身大を表し、新しい見せ方に挑戦した今回のコレクションに結びついた最大の要因かもしれない。
コレクションについて「モード、ストリート、スポーツなどがグネグネしているようなイメージ・・・最後にどこに辿り着くかわからないけど・・・溶けていくような・・・」と抽象的に言い表したことが、今期のタロウ ホリウチだけでなく、東京の時代感を象徴するような言葉でもあった。
毎日ファッション大賞の新人賞に対するイメージを覆すほど、着実なサクセスストーリー
展示会前には、毎日新聞社が主催する第30回毎日ファッション大賞で新人賞・資生堂を受賞した。授賞式では、2007年に発表した「ヨーロッパで出会った新人たち」以来となるモデルをつかったパフォーマンスを行い、業界関係者にも成長した姿をみせた。これまで、毎日ファッション大賞の新人賞といえば、ショーベースで発表しているブランドの方が評価されやすい傾向が強かった。そのような背景のなかで、ルックブックと展示会ベースで発表しているにも関わらず、評価されたということは、コレクションの完成度や品質の高さを裏付けている。ブランド視点だけでなく、賞としても今後の審査基準にも影響を与えるのではないかと考えてしまうほど意義のある受賞であった。新たな勲章を携え、デザインだけでなく、価格帯も手が届きやすくなってきており、東京が誇る屈指の若手ブランドとして更なる飛躍が期待できる。
取材・文:スナオシタカヒサ
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